人前で話す経験が少なかったり、上手く伝わっているのか心配になったりすると自分が途中から何を言ってるのか分からなくなりますよね。私も全く同じでした。
今回は、『働き始めたばかりの新人看護師さん』や『実習が始まったばかりの看護学生さん』なら誰もが1度は悩んだ経験のある申し送りや目標発表について話していきます。
- 申し送りや目標発表で上手く話せない。
- 話していることがちゃんと相手に伝わっているか心配がある。
- 先輩たちに『この子はあがり症だ』と思われないか不安がある。
【新人看護師】申し送りってどうやったら上手く伝わるの?【悩み】
なぜ、申し送りは緊張するのか?
私は看護師として働き始めて苦手だと思っていたことがあります。
それは申し送りです。
私は、どんなことよりも申し送りに緊張していました。
私が緊張する理由として
- 大勢の先輩に囲まれている。
- 正しく情報が伝わっているか心配。
- 『この新人は申し送りが下手くそ』と思われているかもという不安。
- 緊張していることが周りにバレているのでないかという恥ずかしさ。
このようなことがありました。
どうすれば申し送りが上手にできるのか?
最初、どうすれば申し送りが上手にできるのかを考えました。
- 業務の合間をぬって、申し送りに必要な情報を整理する。
- 事前に文章化して準備しておく。
- 変わりのない患者の情報は言わない。
私は上手に申し送りができるように努力しました。
しかし、上手くいきませんでした。
つまり、これまでは申し送りが上手にできたかどうかを自分自身で決めていたということです。
これまで私が努力してやってきたことも相手に伝える準備という意味では間違いではなかったと思っています。
しかし、私は申し送りについて考えていくうちに、もっと大切なことがあると考えるようになりました。
『心の矢印を自分ではなく、相手に向ける』
この考え方は申し送りだけではなく、看護を行う場面や日常の生活で練習することが出来ます。
これから話すことは説明を聞いたからといって、すぐに出来ることではありません。
しかし、このことを意識して生活することで
- 自然と自分の気持ちも楽になる。
- 周囲の人があなたを信頼してくれるようになる。
『心の矢印を自分ではなく、相手に向ける』とは?
私は『申し送りが上手になりたい。』とずっと思っていました。
そんなある日、職場の上司から
「申し送りの準備なんかノートに書かんでいい。そんな時間があるなら患者さんのところにいって顔でも看てきなさい。」
と怒られました。
私は、上司に言われたこの一言で気が付きました。
私がやっていた申し送りの準備は自分のためにやっていた。
※何事も準備をすることは大切です。準備がダメということではありません。
先輩ナースや周囲の人から『仕事ができる人』や『話が上手な人』と私は思われたかったのだと気が付きました。
このように、
- 恥ずかしい思いをしたくない。
- 周りから良いように思われたい。
という考えは、心の矢印が自分に向いています。
日常の生活で「今心の矢印がどっちを向いているのかな?」と考えたことがありますか?
日頃から、心の矢印を考えながら生活している人は純粋にすごいと思います。
私の場合、生まれてからの約20年間、心の矢印を考えたことは一切ありませんでした。その場の雰囲気とノリで生きてきたようなものでした。
心の矢印を相手に向けたらどうなるのか?
心の矢印を相手に向けると、
つまり、自分のことではなく、相手や他の人のことを考えれるようになります。
例えば、友達の鼻毛が出ていたとしましょう。
私が友達に鼻毛のことを伝えると友達は恥ずかしい思いをするかもしれない。
でも、このままにしておくと友達がずっと恥ずかしい思いをしてしまう。
だから、怒られても、恥ずかしい思いをさせてもいいから伝えよう。
最初は、矢印がどちらに向いているのか意識しないといけません。
私の場合、約20年間も意識しない生活を送っていたため、そう簡単には出来ませんでした。
どんなに悩んでも、どうしても自分に矢印が向いてしまう。
例えば、
私は『あの子は申し送りが上手だ』と先輩たちに思われたい。
だから、事前に患者さんの情報を整理したり、文章化したりする。
これでは矢印が自分に向いています。
今までは【上手に申し送りがしたい】と考えるあまり、
申し送りの前から上手にできるか心配になり、ドキドキして患者さんのことを考えられない。
過度な緊張で、言葉に詰まったり早口になる。
自分に矢印が向いているだけで私はこんなに悩んでいました。
『申し送りが上手だと思われたい』ではなく、『次の勤務帯で、患者さんのこの情報だけはどうしても知っておいてほしい。』ということをしっかりと伝えれるように意識しました。
そうしたことで、
- 患者さんの情報を必要なことだけに絞って整理できる。
- 今の患者さんにとって、なにが一番大切なことなのかを考えながら観察できるようになる。
さらに、私のなかでもっともよかった変化は、
上手に申し送りする患者の必要なことを正しく伝える
に変わったことです。
患者の必要なことを正しく伝える。つまり、
- 申し送りで自分が周囲からどう思われようがどうでもいい。
- 自分のことより患者のことを最優先にする。
- 伝えることに全力を注ぐ。
こう思えるようになったのは心の矢印を意識したからです。
申し送りが嫌だったときに比べて、緊張や不安、心配はほとんどありません。
「こんなの当たり前のことじゃん。」と思う人もいるかもしれませんが
こういった些細なことで人は悩んでいるのだと思います。
当たり前のことで話を終わらせてしまったら、私と同じように悩んでいる人がこの問題を解決できないままになってしまいます。
今の私は自分に矢印は向いていません。
どれだけ周りに「そんなこと当たり前だ。」言われようと、私自身が恥ずかしい思いをするのはなんともありません。
むしろ、私と同じ体験をしている人が
そんな人たちの少しでも力になれたら嬉しいです。
たったそれだけで、これまで恥ずかしかったことや気にしていたことがかなり軽減しました。
今では申し送りが苦手ではなく、楽しいと思えるようになっています。
そりゃ失敗もたくさんしますが、失敗しても内容をしっかり伝えることができれば良いと思っているので落ち込むことはありません。
自分が失敗したことより、どうすればもっと相手に伝えることができるのかを考えています。
お互いが心の矢印を相手に向けていれば、お互いの心の距離が縮まるかもしれませんね。