看護師として働き始めると
と思ったことはありませんか?
今でも毎日のように、悩みながら私は仕事をしています。
- どうすれば相手に上手く伝わるのか理解できる。
- わかりやすい文章が書ける。
- 読みやすい文章が書ける。
カルテ以外でも、看護師は文章を書く機会が多いと思います。
ここで伝わる文章について理解して、今後も文章をたくさん書いていきましょう。
伝わるカルテの書き方①【わかりやすい文章と見やすい文章】
今回は『伝わるカルテ記録』について考えていきましょう。
まず、カルテは文章です。『伝わる文章』とはどういう文章なのか結論を言います。
『伝わる文章』とは簡単にいうと【わかりやすさ】と【見やすさ】がしっかり考えられている文章のことです。
- わかりやすさとは:相手が理解しやすい文章構成
- 見やすさとは:相手が理解しやすい文章表現
なぜ【わかりやすさ】と【見やすさ】が重要なのか
文章を読んでいると段々と疲れてこないですか?
特に、理解しづらい文章や難しい言葉が使われていると余計に読むのがしんどいですよね。
文章を読むことは、少なからず脳に負担が掛かっています。
- なぜなら、視覚からの情報が多い漫画や映像と違って、文章は自分の脳を使って情報をイメージする必要があるからです。
文章を読むときに作り上げられるイメージは、読む人の知識や記憶によって変わってくるので脳への負担も人によって異なります。
脳の負担が少なければ少ないほど、読む人は自由な発想ができ、情報をしっかりとイメージすることができます。
逆に、脳に過剰な負担が掛かると、読む人はイメージするのをやめ、考えることをやめてしまうのです。
つまり、読む人の脳に負担が掛からない見やすく、わかりやすい文章を意識する必要があります。
見やすい・わかりやすい文章を書くには
【見やすい】・【わかりやすい】文章とは、脳に負担の少ない文章のことです。
まずは、どんなときに人間が脳に負担を感じるのか知っておきましょう。
どんなときに読む人は脳に負担を感じるのか
認知心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマン氏は『ファスト&スロー』という著書のなかで、人間の脳には「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」というふたつの思考があると述べています。
- 脳への負担を減らすために自動的に高速で動く思考。
- 物事を直感的に理解しようとする思考。
- 例えば、クモなどの虫を怖がって危険を避ける行為。
- 複雑な計算など、注意力が必要なことをやるときに慎重かつゆっくりと動く思考。
- 物事を論理的に理解しようとする思考。
- 例えば、1冊の本のなかから重要な情報だけを抜き出す行為。
今の時代は情報がとても多いので、ひとつひとつ丁寧に情報と向き合っていたら脳はすぐに疲れてしまいます。
脳は少しでも楽をしようと、何かの物事を判断するときは、まず「システム1(速い思考)」を使って、「これはいい」「これは悪い」と物事をふるいにかけます。
脳が「この文章は読みづらいな」と感じたら、「この文章は読まなくていいや」となってしまうのです。
見やすい文章に直して、「システム1(速い思考)」で「これは読んでみよう」と思わせたとしても「システム2(遅い思考)」が待ち構えています。
せっかく文章を読み始めても、文章の内容がぐちゃぐちゃだったり、意味が分からなかったりすれば、結局読んでもらえません。
つまり、読む人の脳の負担を減らすためには、「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」に配慮する必要があるということです。
- システム1には、パッと見て見やすい・読みやすい文章
- システム2には、論理的に理解しやすい・わかりやすい文章
どうすれば【見やすく】【わかりやすい】文章になるのか
1.見やすい文章にするには
- 漢字とひらがなのバランスを調整しよう
- 必要ない言葉や表現はなくし、文章が不必要に長くならないようにする
- 文字の大きさやバランスを意識して、文字を出来るだけきれいに書く
①漢字とひらがなのバランスを調整しよう
漢字だらけの文章だと難しく感じられる。
漢字が多いだけで文章を読むのが嫌になる人って結構いるのではないでしょうか。
逆に、ひらがなが多すぎても『どこまでがひとつの言葉なのか分からなくて見づらい』という人もいると思います。
漢字もひらがなも、ちょうど良いバランスを調整しましょう。
②必要ない言葉や表現はなくし、文章が不必要に長くならないようにする
- 基本的に看護記録は敬語を使用しない
ベットサイドで端座位になられている。
ベットサイドで端座位になっている。
- 二重否定は避ける
表情は悪くないこともない。
表情は良い。
1文だとそこまで気にならないですが、文章にすると長くなるので注意しましょう。
③文字の大きさやバランスを意識して、文字をできるだけきれいに書く
文字の『きれい』『きたない』は一旦置いといて、文字の大きさやバランスは意識してほしい。
文字が小さかったり、バランスが崩れている文章は、なかなか読もうとは思わない。
文字をきれいに書く必要はないが、文字の大きさとバランスは意識しましょう。
電子カルテが普及しているので、文字の大きさやバランスはあまり気にしなくて良いかもしれませんね。
2.わかりやすい文章にするには
わかりやすい文章にするには、「システム2(遅い思考)」を意識した『論理的な文章』が必要になります。
- 論理的な文章とは、内容が整理されていて筋道が立っており、主張がはっきりした一貫性のある文章のことである。
- 簡単にいうと、文と文にちゃんと繋がりがあって、文章を書いている人の言いたいことがすんなり分かる文章のこと。
わかりやすい文章にするには、自分の言いたいことに対する疑問をすべて説明していく必要があります。つまり、読む人の『なぜ』を解決していくことが必要です。
読む人の『なぜ』を解決するために必要なことは3つあります。
- 読む人がわからない言葉は使わない
- 読む人が何に対して疑問を感じているのか考える
- 『なぜ』に対する理由が言える【根拠】を持っている
カルテを書くときは③『なぜ』に対する理由が言える【根拠】を持っているが最も重要になります。
『患者さんの訴えや状態から自分はこのようにアセスメントした。』とカルテに記載した場合
アセスメントした根拠がなかったり、全然関係ない根拠を書いていたりすると読む人は「えっ?なぜ?」と疑問に感じて、わかりやすい文章にはなりません。
カルテを書くときは、読む人の『なぜ』を意識しながら記載すると論理的でわかりやすい文章になります。
まとめ:見やすく、わかりやすい文章でカルテを書こう
- 文章が難しいと、すぐに脳は疲れてしまう。
- 読む人の脳に負担が掛からないように、見やすくて、わかりやすい文章を意識する必要がある。
- ダニエル・カールマン氏は人間の脳には「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」があると述べている。
- 漢字とひらがなのバランスを調整しよう
- 必要ない言葉や表現はなくし、文章が不必要に長くならないようにする
- 文字の大きさやバランスを意識して、文字を出来るだけきれいに書く
- 読む人がわからない言葉は使わない
- 読む人が何に対して疑問を感じているのか考える
- 『なぜ』に対する理由が言える【根拠】を持っている
『伝わるカルテの書き方①』では、読む人に焦点をあてながら【見やすくて】【わかりやすい】文章の書き方について説明しました。
私は人に伝えるのが苦手でしたが、いろんな本を読んだり、さまざまな方法を試すことで徐々に伝えることが好きになってきました。
自分の感覚で伝えようとしても、なかなか上手く伝えるのは難しいです。
少しずつ伝え方を学んで、苦手を克服していきましょう。
学ぶことで苦手を得意にすることだって出来ます。
私の経験がほんの少しでもお役に立てれば、幸いです。